本の虫のおうち生活

雑食の読書好きによる感想

「少女漫画家が猫を飼う理由」天野頌子

死体だって、普通に生きた愛された人間。

少女漫画家が猫を飼う理由 警視庁幽霊係 (祥伝社文庫) [ 天野頌子 ]

価格:680円
(2020/8/1 20:32時点)
感想(0件)


大好き「幽霊係」シリーズ第3弾。今回は短編集。
1)ハートの指輪に呪いをこめて
何重にも人の恨みが込められた呪いの指輪をめぐるお話。
人は、いろんな面があると思う。この人は今、とても疲れていて、イライラしていて私に当たっているのかも。
今この人は私にやさしいけれど、辛い瞬間に私はその人と一緒にいられるだろうか…。
人生を連れ添った老夫婦に尊さを覚えるのは、そのためかもしれない。どんな瞬間も一緒に生きてきた。その絆には誰も勝てない。
2)お盆注意報
大好き。不謹慎だけど、すごく笑ってしまった!
幽霊係・柏木警部補のお盆帰省のお話。幽霊のおじいちゃんが柏木君全く違う豪快で、とにかく争いが好きな人。魅力的だな。
毎日泣いていてうるさいから除霊してくれとおじいちゃんに頼まれて、同僚による殺人事件にかかわる柏木君。
実家は広島県の中の田舎。
未だ若くして亡くなった幽霊の彼は、自分が自殺で死んだために妻が悲しんでいるのに耐えられないと訴える…。
まぁ、可愛そうだよ。可愛そうなんだけど、亡くなった彼の自分中心の天真爛漫の様子に、少しため息。
犯人の同僚をかばう訳じゃないけど、犯人の気持ちが分からなくもない。自分が表せない感情をまっすぐに顔に出せる人に嫉妬はしてしまうかな。
なんにせよ、被害者の昔やんちゃだった奥さんの、あっぱれな性格が良い!!こんな女性になりたい!!
3)少女漫画家が猫を飼う理由
売れっ子漫画家が、4か所も刺されて路上で殺された。被害者に話を聴くと「私を恨んでた人は多いと思います」と言われ…。
漫画家は、浮世離れしているのかな?犯人は、すぐにわかったけれど、犯人の気持ちも分かり、複雑はお話。
家族同士の確執は一番解決が難しいと思う。家族は大切にしなくてはいけないし、そうすることが当たり前だし、それを求められるし…。
漫画家などのマネージャーが家族が多いらしいけれど、それは大丈夫なんだろうか…。難しくないかな。
血の濃さは、それによって絆が強い訳ではない気もしたりして…。

どのお話も軽く読めるのに、考えさせられて、笑えるのに少し悲しくて、素敵なお話でした…。