優しい日常の親子愛「ハルさん」藤野恵美
価格:792円 |
瑠璃子さん…今日はね、ふうちゃんの結婚式なんだよ。まさか、この僕が「花嫁の父」になるなんて…
優しい優しいお父さんが、娘の成長と共に起こる日常の謎を解いていくお話。
亡くなった奥さんとのやり取りが、ほんわかした気分になれる。
心がくさくさしたときに読むと、穏やかになれてありがたい。
児童文学を書いている作者さんだからか、スッとわかりやすく入ってくる綺麗な文章が珍しくて好きだった。
こんな優しくて温かいお父さんなら、優しい娘に育つのだろう…。
少し頼りなさはあるけど、夢の中に出てくる亡くなった奥さんに手綱を握られている感じが、微笑ましくてお似合いだった。
結末には少しの切なさが残る。やっぱり子供は巣立ってしまうものだよね。
育つのは親として嬉しい、でも彼にも奥さんがそばにいてくれたらな…。
娘が成長していく段階は夢中で、寂しさなんて感じる暇もないかもしれないけれど、それが終わってしまったら、ぽっかり穴が開くことはしょうがないのかな。
優しさと少しの哀愁を感じられる素敵な本だった。
表紙の親子の絵もいい。