「怪盗クイーンの優雅な休暇」はやみねかおる
怪盗クイーンの優雅な休暇 (講談社青い鳥文庫) [ はやみね かおる ] 価格:1,078円 |
とにかく優雅な怪盗クイーンシリーズ第二弾。
あらすじ
自分は働きすぎだからたまには休暇が欲しい!というクイーンの我儘を言うクイーン。そんな時、豪華客船「ロイヤル・サッチモ号」からの招待を受けて…。
感想
怪盗、探偵卿、暗殺者集団「初楼」。
探偵卿・サッチモと絶対こんな探偵卿にはなってたまるかの助手・冥美。
クイーンを狙う、手だれが集まる7人の暗殺者集団「初楼」。
敵対組織がそれぞれ個性が強い。本当にそんな実力があるのか疑いたくなるキャラクターが、クイーンを追いつめるギャップ。
でもほとんどの恨みは、どう見てもクイーンが悪い!よ。
そりゃ、恨まれるよ…と思われることをしておいて、何のこと?と笑うクイーンが爽快に感じられる不思議。
だから、自分が昔恨みを買った人物からのバカンスの招待を、楽しそうに受けるクイーン。自分を恨んでる人なんているの?のおとぼけの裏にある自分の強さに対しての自信がカッコいいんだな。子供の頃に憧れるヒーローの条件だと思う。
この作品の魅力は、無条件にワクワクさせてくれるクイーンのキャラクターだな。その気持ちは何度読み返しても変わらない。幾つ歳を重ねても、子供の頃の憧れを取り戻してくれて、物語に夢中にさせてくれる作品だからふと読み返したくなる。
クイーンとジョーカーの正反対のパートナーの、かみ合わない会話と、人工知能RDのまるで人間のようなツッコミも今作も健在。これは逆にかみ合ってるのかも。
三つ巴の何が何だかわからない戦闘や、だまし合いも変装が得意なクイーンだけあって、誰が誰かも信用できないスリルが楽しい。深く考えたくないくらい、スピーディーに読むのが合う本だな。
今回は、少しジョーカーのしんみりさせる結果まで綺麗にまとまって、最後はちゃんと空に帰っていくクイーンたちの儚さも怪盗らしくて素敵なお話。
子供の頃の素直なワクワクを感じたいときに嬉しい本だった。